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第１部各章の要旨
本書第１部のまとめです。 |
| 第13章 小児 |
乳幼児突然死症候群の主要な原因は妊婦の喫煙・受動喫煙、出生児の受動喫煙です。
在胎中の喫煙と出生後の受動喫煙は、子供の低身長、運動能力低下、呼吸機能低下、知能低下をもたらします。受動喫煙は立派な幼児虐〈ぎゃく〉待です。
精神遅滞は妊婦の受動喫煙や父の喫煙でリスクが上がりますが、父の喫煙の影響は妊婦の受動喫煙を介してのものか、精子の遺伝子異常を介してのものか、断定されていません。
妊娠中の喫煙によって小児自閉症が増え、妊娠中の喫煙と出生児の受動喫煙によって、攻撃的性格に象徴される注意欠陥多動障害が発生しやすくなります。妊娠中の喫煙は子供の将来の暴力的犯罪を倍増させるとの報告もあります。
小児がんのうち、肝芽腫〈しゅ〉は母の喫煙によって、横紋筋肉腫〈しゅ〉は父の喫煙によって、白血病、神経芽細胞腫〈しゅ〉、脳腫瘍〈しゅよう〉、悪性リンパ腫〈しゅ〉は両方の喫煙によってリスクが上がります。小児がんの14〜15％は父の喫煙によって起こり、その機序として受精前の精子異常を指摘する意見があります。子供の受動喫煙は小児期の悪性リンパ腫の原因になるほか、成人後の肺がん、膵〈すい〉臓がん、白血病、悪性リンパ腫、膀胱〈ぼうこう〉がん、乳がんの原因になります。
受動喫煙は小児喘〈ぜん〉息の代表的な原因です。気道刺激とアジュバント効果によって小児喘息を発症・悪化させ、治癒〈ちゆ〉を妨げます。親の喫煙は、屋外で喫煙するなどして直接子供に受動喫煙をさせなくても、煙に無頓着〈とんちゃく〉になることで、結果的に子供を受動喫煙にさらすことになります。屋外での受動喫煙も、喘息を悪化させる力があります。母親の妊娠中の喫煙によっても子供の喘息が起こります。
親の喫煙によって子供の喫煙開始年齢が早まる傾向があります。学校の敷地内禁煙化は、未成年喫煙の抑止に有効です。若年齢から開始した喫煙は、成人してから始めた同等量の喫煙よりも、はるかに大きいがんや心筋梗塞〈こうそく〉のリスク増大をもたらします。親や教師は、子供の喫煙を、子供の自殺と同義と考えて阻止すべきです。
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